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20020907







 朝、ドラエもんTVがとんでもない音量で鳴り始め、画面には「Good Morning, Mr. Hiromichi Hosoma」の文字。目覚ましアラームが作動したらしい。これが近未来というやつか。

 トラムで会場前広場に行くと、10時過ぎて間もないのに早くもメイン会場は長蛇の列。とりあえず、そばにある長細い別会場を攻める。

 この会場で印象深かったのは、入口近くにあったFareed Armaly with Rashid Mashrawiのパレスチナのビデオ。上空をヘリコプタが飛び、その爆音が間近に聞こえる。といっても、銃が撃たれるわけでも何かが爆発するわけでもない。広場なのかターミナルなのか、そこに集まったバンに次々と人々が乗り込んでは走り去っていく。その温度と埃があまりに間近に分かってしまう映像。いわゆる「パレスチナはいま、緊張に包まれています」式の空虚な「緊張」ということばとはまったく異質の、そこで生きていくために身体の中から立ち上げざるを得ない緊張。

 Documentaが徹底してる点は、どの映像ブースも、映像が非常にでかいという点だ。これだけで作品の魅力は5割増しくらいになっている。
 
 Eija-Liisa Ahtilaの「House tale」。あらゆる船が同時に通り過ぎ、それぞれの汽笛を鳴らし、あらゆる遭難者によって私の眉を動かし身体を動かす。あらゆる人々が同時にアクセスするメディアとなってしまった私の身体。三画面であることを納得させる希有なフィルム。

 Georges Adeagboのインスタレーション。入口で入場者制限をしているのでなかなか入れない(今回のドクメンタ11にはこの入場制限がじつに多くてあちこち回るのに時間がかかる)。入るまではなんか雑然とした感じに見えたが、中は意外に統一感。たぶん、彼の模写によるルオーや新聞写真が効いているのだろう。路上でこんな露店に出会いたい感じ。

 スティーブ・マックイーン(という映像作家)のカリブの海のビデオでなごむ。

 夜、どこかうまいレストランでもないかと思い、ホテルのフロントで尋ねると「フリートリッヒシュトラッセとアンナシュトラッセのあたりがナイトライフは盛んです」というので、トラムで行ってみる。しかし、どうもぽつぽつと店があるにはあるものの、盛んというにはほど遠い感じだ。ともあれ、通りかかった中華料理屋に入ってみる。二人分のコースを頼んだのだが、相方もぼくも半分しか食えなかった。幸い味は悪くなく、値段は安かった。

 夜、青山さんと田尻さんがポーランドから到着。ちょうどポーランドではスケジュールが入れ違いで会えなかったのだ。部屋で飲んであれこれ話す。

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