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M41.0727
忘るべからざる、最も真面目に過した一日として、此日の日記を書こう。
下宿料の催促。決心!あらゆる不安を圧搾して石の如くした様な決心!
平生自分が、一家のしょ血、其将来などを思う時は、悲しいうち、痛ましいうち、苦しいうち、にも、猶多少空想を容れる余地がある。が、この自分一個の生命に関する問題になると、寸毫のゆるみもなく、隙もない。
灰色になった白地の単衣が垢にしめって、昆布でも纏うている様な心地だ。英和辞書−自分の最後の財産を売って、電車賃と煙草代を拵えた。
知己を訪ね歩く。北原君宅へ。
電車が一台、勢いよく坂を下って来た。ハット自分は其前に跳込みたくなった。然し考えた。自分は自分の歌をかいた扇を持っている。死ぬと、屹度これで自分だという事が知れるだろう。−かくて予は死ななかった。
長谷川氏を訪ねる。
金田一君へ行って半時間ばかり話す。


























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