啄木日記メモ目次
|
時間表目次
M41.0831
窓の前の竹が秋風に騒いでいる。頭がまだ疲れていて、底の方に静かな風が吹いている様だ。
一日何もしない。
M41.0830
六時頃には作ってしまった。
何しろ千三百首あるのだから、古今集一冊よむよりも骨だ。済んだのは午後八時、スッカリ一昼夜かかった。僕のは大分評判がよかった。
M41.0829
暑い日。
読売社の三面記者五名募集へ、心ならずも履歴書。
千駄ヶ谷。百首作ろうと云うので字を結んだ。枕時計が八時をうつを合図に始める。
M41.0828
手紙も来なければ人も来ない。
M41.0827
平野君来る。僕自身の事、十一月十五日〆切の二六新聞の懸賞小説を脱稿するまでは、現状のままで居ようという事にきめた。
夕刻千駄ヶ谷へ。四年前の芝居の話。
M41.0826
遠藤君から手紙、借金の催促。
M41.0825
なつかしい長い手紙。
M41.0824
筑紫へ文。
吉井君の歌会だったが電車賃がなくて行かなんだ。
M41.0823
M41.0822
今日の一日はその刺激を欲する心に終始した。
一人の女が一人の男に身をまかして、そして生活することを結婚というのだ。世の中ではこれを何とも思わぬ、あたり前な事としている。然るに”彼等”に対しては非常な侮蔑と汚辱の念を有っている。
少し変だ、彼等も亦畢竟同じ事をしているのだ。
夜、また二人で行こうかどうか語り合ったが行かず終い。
M41.0821
●金田一と十二階付近を遊ぶ。三友館でキネオラマ。塔下苑。
M41.0820
夕、金田一君の国史大辞典を典じて共に銭湯にゆき、帰路ビールを呷り、氷をのむ。盆踊りを踊る。秋天廓寥、銀河高し。
M41.0819
貞子来りて予を呼出し、泣いて品を返す。
M41.0818
M41.0817
この日より毎日金田一君碧海君と共に将棋。義太夫は将棋に代れるなり。
M41.0816
M41.0815
M41.0814
M41.0813
M41.0812
M41.0811
M41.0810
M41.0809
M41.0808
千駄ヶ谷の歌会。
留守中に植木貞子に、日誌を奪われる。十二日間日誌を認むる能わず。
M41.0807
千駄ヶ谷へ。
夜、大暴風雨。
M41.0806
金田一君と語りて日を暮す。
M41.0805
義太夫本。傾城阿波鳴戸巡礼歌の段、涙落ちて雨の如し。
金田一君と初音亭にて娘義太夫。
寺門にて辻占、一袋五ヶ入一銭なり。金田一君と共に交々破いて笑う。残る一つを破きしに”日の出だよ”!
蕪村句集。唯々驚くに堪えたり。
M41.0804
半日金田一君と語る。
与謝野氏より書留。原稿紙、蚊やり香、煙草、絵ハガキ数枚、蕪村、唐詩選、義太夫本、端唄本。
蚊帳いらずを焚いて安眠するをえたり。
M41.0803
昨夜蚊に攻められて遂に一睡もせず。
”その人々”五枚目まで。
長谷川氏より。文芸倶楽部に載するあわわず、太陽も年内に余地を作ること難き故、お気の毒乍外に交渉してくれと。
イヤになって了って早々枕につく。煙草はなし、蚊やりはなし。仰向のまま蚊を十何疋殺して二時頃漸く眠る。
M41.0802
”春潮”によ の名を署したる詩。予未だ”春潮”に詩を送れる事なく、その存在すら昨日に至って初めて知り得たるのみ。
日暮、金田一君と洗湯にゆく。半月目也。
”文豪国木田独歩”
予の特に感ずるは、彼が無邪気なりし事なり。小児の如く笑い、小児の如く怒りし事なり。予は何故に怒りえざるや?
葉舟の”北村の日記”よし。
M41.0801
暑い日だ!
何方も諸肌を脱いで、金田一君と語った。
茗渓の濁れる緩き流れ、向側の電車の影のそれに移るのが面白かった。
残れる銅銭を集めて、あやめを一つ買って来た。
中央公論の後藤新平論と国木田独歩論を読んで、考えた。
今夜は両国の川びらき、杳かに花火の音がする。
啄木日記メモ目次
|
時間表目次
to the Beach contents