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M41.0910
古今集読了。よいと思うのは、大てい万葉古今の過渡時代の作だ。
北原からハガキ。北原君などは、朝から晩まで詩に耽ってる人だ。
それに比すると、今の我らは、詩の全能ということを認めぬ。
人が大人になる、すると、今迄興味を有って来た事の大半に、興味を失ってくる。そこで更に新らしい強い刺激を欲する。ト共に、何か知ら再び小児の時代の単純な、自然な心持に帰って見たくなる。これら二つの希望のうち、どれが詩的かと云えば、無論小供の時代に帰りたいという方が詩的だ。
詩は、詩だけは、その性質として、一番終いに時代の言語を採用するものじゃなかろうか。
千駄ヶ谷へ。今夜は中秋の名月だ。晶子さんは勝手でお団子を拵えていた。何処からともなくオルガンの音につれて美しいゆたかな若い女の肉声が聞えて来る。









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