啄木日記メモ目次
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時間表目次
M41.1130
平山良子から写真と手紙。驚いた。仲々の美人だ!
スラスラと鳥影。
最初の原稿料、三十円。
栗原君の新居を訪うと病床にありと。
金田一君と四丁目の天宗でテンプラ。
M41.1129
実に不幸なる日。殆んど金田一君の室ですごした。
午前三時までかかって”鳥影”の今日送るべき筈であった分をかいた。
M41.1128
せつ子から手紙。
北原君の紹介で若山牧水氏の”新文学”へ寄稿。
M41.1127
M41.1126
M41.1125
M41.1124
M41.1123
これより毎日、”鳥影”の稿をつぎ、且”赤痢”に苦心した。二十二日には吉井太田北原が大饗宴したとのこと。
M41.1122
大隈邸で園遊会。
少なくとも予自身は適しない。
M41.1121
千駄ヶ谷、与謝野家。
晶子さんは二日間許り、右の半身が半分不随になったそうな。医者は脳の過労のためだと言ったそうな。予は悲しかった。
車で四丁目。
●電車で塔下苑。
M41.1120
(四)の九。
平野君、太田君と快談。太田君は、予が告白するに最も邪魔になるのは家族だと言ったのを、それはホンノ少しだと言った。これは太田君がまだ実際という物に触れていないためだ。同君の煩悶は心内の戦いで、まだ実生活と深く関係してない!
M41.1119
平野君から電話、上田氏宅へ。
紙屋の店にアノ女!−夏に吉井君と二人で人形をかった時の女に似た女!
M41.1118
午前のうちに(四)の七を書き送った。
半日を費やして”かくれ蓑”という小供のよむ探偵小説を読んだ。無邪気である。
M41.1117
近き過去に於て清国宮廷に行なわれた惨鼻なる悲劇について、太田君は全く無感覚であった。
M41.1116
予は近頃、今迄は平気で話していた人達と、日一日に感覚が出来てくることを感ずる。それは別に何の理由もない。これらの人達の心が見えすいて、そのために憐む様な気持になるのだ。多少苦痛を感ずる。
風邪の気味で今日は喉にハンケチを巻いた。
M41.1115
平山良子という女−芳子の友−から手紙。
M41.1114
天理教の話。
M41.1113
予は近頃吉井が憐れでならぬ。”不可思議国は近づけり、悔改めよ。”と予が笑い乍ら言った。
M41.1112
吉井君来る。
M41.1111
梅川を訪問して見ようかと思つたが、思返てやめた。
M41.1110
太田君。不可思議国の話。中古に悔、ゲーテに伊太利。
現代人には現代社会そのものが不可思議。
八時半頃に遂々出かけた。
浅草にも遊び人が少なかった。苑中は不景気、従つて随分乱暴に袖をひく。
は金の入歯をした、笑くぼのある女であつた。Masako は風邪気だと言つて、即効紙を額にはつてゐた。−
妙に肌寒い心地で十二時に帰つた。
モウ行かぬ。
M41.1109
金田一君の質をうけ、予の羽織の利上げ。
栗原君に一円紙代。
M41.1108
並木君と二人、活動寫眞を見てゐた。そこから出て散歩(?)した。(塔下苑か?)
M41.1107
吉井君の脚本第一作。
晶子さんを男でも女でもない。それかと言って第三性でもない。第四性位の所だろうという話が出た。
千駄木。与謝野家で歌会。
, Masako 千束町
M41.1106
明治書院。”明星”終刊号発想。
M41.1105
吉井君来る。
太田正雄君。少なくとも、今迄の予の友人中に類のなかった人間だ。
秋声の「多数者」。虚子「雛頭」
M41.1104
終日執筆。
M41.1103
金田一君と上野の文部省展覧会。晶子さんに逢う。薄小豆地の縮緬の羽織がモウ大分古い。満都の子女が装をこらして集った公苑の、画堂の中の人の中で、この当代一の女詩人を発見した時、予は言うべからざる感慨にうたれた。
藤村の「春」を貸本屋から借りて読む。
小説の上野一歳の旧き技巧を捨てて、新意ある描写に努力した作者の熱心は、予を驚かしめた。藤村に手紙。
M41.1102
終日ペンを執って遂に満足することが出来なかった。
金田一君と話して少し頭が軽くなった。
この日の苦闘は、予をして何故に小説を書くかを疑わしめた!
M41.1101
”鳥影”が東京毎日新聞へ今日から掲載。
朝、女中が新聞を室へ入れて行った音がすると、予はハッと目がさめた。
昨日の五円で大型の厚い坐布団など。
貸本屋から白鳥君の”何処へ”。
夜、なんということもなく心がさびしくて、人の多勢いる所へ行きたくなった。浅草へ。
富士館で活動。見世物小屋の前の半玉。小位処には、声の枯れた男が、追分をうたい、尺八を吹いていた。
塔下苑へ。O-Mitsu-san!
財布をすられる。
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