Texture Time: 13 August 2000
Zurich -> Munchen




Lindauで湖は開け、 00.8.13 15:40 いましも岸から飛び込もうとする女性が見える 00.8.13 15:40 きつい葉巻の匂いが隣から漂っている 00.8.13 15:41 女の子はここを通り過ぎるたび 画面をのぞき込んでは、何事が起こっているのか確かめる 00.8.13 15:41 打ち込まれたひらがなが漢字に変わるのが おもしろいらしい 00.8.13 15:41 そして何か新しい秘密でも見つけたように 母親に伝えにいく 00.8.13 15:42 広く開けた湖のある町 00.8.13 15:42 強い陽射しが湖から照り返す町は 00.8.13 15:43 ローザンヌを思わせる 00.8.13 15:43 ルツェルンのように湖をひた隠しにし 00.8.13 15:43 秘密を持たない町 00.8.13 15:43 広い湖じたいがある種の秘密なのだから 00.8.13 15:44 これ以上どんな秘密がいるだろう 00.8.13 15:44 そして秘密には飛び込むだけでいい 00.8.13 15:44 母親は女の子の報告に飽き 00.8.13 15:44 席を移り本を読みはじめる 00.8.13 15:45 列車は湖を離れカーブを描く 00.8.13 15:45 陽射しの向きが変わり、この画面を照らす 00.8.13 15:45 そしてこの画面が陰るまで待つ 00.8.13 15:46 この席が陰るとき、外の光は濃くなる 00.8.13 15:46 牧草の一本一本の輪郭が列車のスピードにこうして眼に飛び込んでくる 00.8.13 15:47 二頭のシロチョウが追いかけあうのが見える 00.8.13 15:48 この列車のスピードで、夏の光はそれほどにはっきりと事物をとらえる 00.8.13 15:49 女の子は母親の向かいに腰かけると 00.8.13 15:52 あおむけに寝転がり求めるように指をくわえて体をゆすり 00.8.13 15:52 そして眠たそうに眼をこする 00.8.13 15:52 午後4時の光は斜め後ろから来る。 00.8.13 15:53 列車は北東を指して走っている。 00.8.13 15:53 次に湖を見るのはいつだろうか。 00.8.13 15:54 湖の気配は、水としてではなく 00.8.13 15:54 空白としてまず現れる 00.8.13 15:54 木々の途切れ、山々の連なりの途切れとして現れる 00.8.13 15:55 それが、このいつまでも連続する木々を見る時間を 00.8.13 15:56 破綻させる 00.8.13 15:56 丘陵地が見える 00.8.13 15:56 なだらかな稜線があって、そこからは何ものぞかない 00.8.13 15:56 そんなとき、湖の気配を感じる。 00.8.13 15:57 この旅を分断する気配 00.8.13 15:57 ときには湖は何の前ぶれもなく訪れる 00.8.13 15:57 木々や山が視界を遮り、湖を隠している。 00.8.13 16:06 検札による中断 00.8.13 16:06 スイスからドイツに入ったつもりだったが、 00.8.13 16:06 じつはほんのわずかだがオーストリア 00.8.13 16:06 をかすめていた 00.8.13 16:07 ぼくのユーロパス 00.8.13 16:07 はオーストリアには無効だったので 00.8.13 16:07 追加料金を払わなくてはならなくなった 00.8.13 16:07 スイスフランを使い果たしてぼくの手元にあるヨーロッパのキャッシュは 00.8.13 16:07 オランダのマルクだけで 00.8.13 16:08 オランダのマルクを払ってドイツマルクのつり銭を得た 00.8.13 16:08 オーストリア 00.8.13 16:08 がどんなだったかを思い出してみる 00.8.13 16:08 それはLindauの少し手前だったはずだ。 00.8.13 16:09 湖を離れしばらくして 00.8.13 16:09 また別の湖にたどりつく、少し前のことだ。 00.8.13 16:09 ぶれぐんつ 00.8.13 16:10 と車掌は言った 00.8.13 16:10 00.8.13 16:10 女の子は眠ってしまった 00.8.13 16:11 指をくわえたまま 00.8.13 16:11 そして小高い丘に出る森林と牧草をのぞき込むように走る 00.8.13 16:12 Kissleg 00.8.13 16:12

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