Texture Time: 24 August 2000
Jena -> Berlin

緑の色が心なしか薄くなり
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それは薄いのではなく明るいのだ、と線路の錆色の明るさが教える
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あるいはこの時刻の太陽の
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まもなく希薄になろうとする光が
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明るさの基準をずらせているのかもしれない
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薄さと明るさを交換させる時間
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錆び、という時間の明るさ
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錆色の線路に乗って移動する
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列車
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古い煉瓦の打ち捨てられた色や
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あせた壁の色
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樅の色
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この窓は横長で
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前の席の青年と共有されている
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空は横長に切り取られ
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長い飛行機雲が横たわる
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鋭い線はやがてじわじわとその幅を広げる
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向いのコンパートメントの娘が、何度も、はろーを唱えはじめる。
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コンパートメントから出て、戻ってきては
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はろーえくすきゅーずみー
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と言う。
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薄いカーテンのようにあぜに並んだ立ち木が向こうの畑を透いて見せる
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空が陰る
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緑は陰鬱な色に代わりだす
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先程の飛行機雲はもう窓の端までいってしまった。
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青年のまなざしを横切るまなざし。
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この空の幅と
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列車の速度に見合う長さの飛行機雲
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を乗せた水平線
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暗さを感知して駅の灯が灯る
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緑は湿り気を帯びてテクスチャとなる
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遠くで牛が横たわっている
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はろー、えくすきゅーずみー
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