9月前半 | 携帯 | 月別 | 10月前半

20000930
 夕方、バレーボール、ユーゴvsロシアはユーゴ圧勝。この国のバレーボール選手はどんな状況で練習しているのか。
 閉会式で携帯をかけてる選手がちらほら。それをTVで見る私。閉じない三角。

20000929
 スペインvsカメルーン。この前の日本vs米国より数段おもしろい。
 シンクロ団体のカナダの演技を見ながら「アーチェリー」「自転車!」などと、北島マヤのパントマイムを当てる小学生の気分になる。

20000928
 新体操が見世物であることは美術が見世物であることと同じくらい自明である、ということは木下直之「美術という見世物」を読めば明らかだが、それにしても、新体操の団体ってどうやって点数つけるんでしょうか。とりあえず「造形」と「交換」がポイントなのはわかった。でも「御所車スペシャル」の点数評価とは?
 シンクロの空手飛び込みすご過ぎ。オリンピックの概念はあれで10mくらい広がったと思う。

20000927
 お仕事お仕事。8月の日記を8/19まで。主な項目として、ミュンヘンの科学博物館、ザルツブルクのパノラマ、インスブルックのパノラマ、など。

 浪越徳次郎死去。つい写真を見直す。

20000926
 昼から京都へ。学会事務。学士堂で近さんとしばし話。エゴの積み残し、とか。古本屋で風俗画報。ジョーズ・ガレージで国内盤で出てるカントリー・ロックもの数枚。クロスカントリーモードに入ってる。Muppet Movieかけながら聴く。

 「二重言語国家・日本(石川九楊/NHK出版)」。カラオケ論やワープロ論には異論がある(たとえば、ワープロと書の違いは美しさだけでなく、速さとコピー可能性にある)が、つまるところ、ワープロでかちゃかちゃやる過程でボディ・ブローのように効いてしまう平坦さと、それがもたらす筆蝕への鈍感さに関しては、まったく認めざるをえない。なによりも彼の書がもたらす衝撃を認めざるを得ない。

 「小森陽一、ニホンゴに出会う(小森陽一/大修館書店)」より。

最も奇妙に思えたのは、日本語の話しことばは、決してそれ自体として簡潔するような、主語と述語がはっきりしたような言い切りの形をとらない、ということでした。言っていることの半分以上を相手にゆだねるような、微妙な曖昧さの中でことばが交わされている、ということは一つの驚きでした。


 ロシア語と日本語の往復という格闘をしている著者のことばとしてこの話を読むとき、自分の翻訳という作業にも、同じ問題が横たわっていることに気づく。主語と述語を確定する英語を日本語に訳するときは、主語を除き、時には述語を除き、文と文との関係の中にゆだねてやる。そうしないと、文章がくどくなってしまう(ミナサン、ミナサンハ、ボクノニホンゴノナニガオカシイノデショウカ、になってしまう)。
 作文において意味を次の文にあずける(もしくは事後的に前の文にあずける)という作業と、会話において意味を相手のことばにあずける(もしくは事後的に前に言った相手や自分のことばにあずける)という作業とは、対応する。
 会話におけることばの省略の構造を拠り所にしながら、一人の人間が文章を書き綴り、ことばを略していく。文体に表れるのは、書き手のコミュニケーションの方法なのだ。といっても、文体とは書き手と読み手のコミュニケーションである、という話ではない。書き手がことばをことばにゆだねていくその手管を、文体は表わす。そのゆだね方に、書き手のコミュニケーションが表れていく。

 家に帰ると魚が死んでいた。2年前から飼っていたやつだ。生け垣のところに埋める。水だけになった水槽を洗う。

20000925
 コミュニケーションの自然誌研。守本さんの日本語教育ボランティア話。いろいろ具体的に考えさせられること多し。日本語教育ボランティアって募集定員に対して何人も来るらしい。奇妙な「ボランティア」現象。
 さんざ飲み食いして実家へ帰る。母親の歌集にあれこれ意見する。

20000924
 レイスコ原稿とりあえず上がる。予定よりかなりふくらむ。
 マラソンの解説には閉口。それと、なぜ競技を終えたばかりの選手にあんなに性急に言葉を求めるのだろう? CXのヤな感じの金メダリスト番組の中で、一人どうでもええ湯かげんの小出監督に好感度増す。性急なインタヴューが許されるのは長嶋だけだと思う。トルンカ「手」。NHKアーカイブ「社員研修」。ここに映ってる人っていま50代から60代か。

20000923
 せんだみつおの愛車のナンバーは78−78(ナハナハ)だったらしい。それはともかくサッカーの日本VS米国を見てまたぎゃーとかもーとか叫ぶ。しかしブラジル戦に比べなんかもっちゃりしてて気合いが乗らない。中田が体を預けてもこの敵には通じない。鈍いのか言語が違うのかどっちかだ。どっちもか。夜、久しぶりにデレク・ジャーマンの(マリアンヌ・フェイスフルの)「Witche's song」見たら、やっぱりすげえ良かった。

20000922
 夜、柔道の録画を見て、「どこを見てるんでしょうか」「このままではだめになります」「こんな勝ち方をしてうれしいんでしょうか」などと猫に語りかける。

 「The Muppet Movie」の西行きで思いだしたこと。カリフォルニアは、もうこれ以上西に行けない場所。海はもうこれ以上行かなくていいというシルシ。サンフランシスコの海岸にあるのは、水浴場の廃墟で、そこにはカメラ・オブスキュラがある。もう行かなくていいと分かった人間は南へ行く。
 マルクス兄弟の「Go West」はとっちらかった西行き。ハーポの体は西に向かって伸び縮みする。トム&ジェリーやバッグス・バニーのピアノ曲弾きは明らかにチコの影響下にある。

20000921
 Raymond Scott 原稿。なんだかんだ言っても、レイスコのことはすでにしてIrwin Chusidがもうええっちゅうほど調べてるので、おとなしく彼の論文に依拠する。しかし、「マンハッタン・リサーチ」のブックレットに載ってる、3番めの奥さんのミッチへのインタヴューは最高。エイボン化粧品のアドバイサーだったってのも好感度高い。こう言っては失礼なのだが、なんていうか、レイスコみたいな人とつきあうには、ほどよい鈍さが必要だったんじゃないかと思う。

 ジム・ヘンソンの「The Muppet Movie」スワンプでお気楽に暮らしていたカエルのカーミットが道中でいろんなマペットと出会いながらゴーウェスト、目指すはハリウッド、ってだけのほとんどどうでもいい筋書きの映画。なのに、涙にじみモード。マペットが西に行くってだけでもう泣ける。涙腺ゆる過ぎ。

 The Third Waveの「Here and now」を聞きながらまた涙。

 待ちに待ったマクニール編「Language and Gestures」。これで21世紀も身振りについて考えることができる。

20000920
報知新聞(2000.09.20)から、中村俊輔の記事。

 生まれながらに、真ん中を歩む運命だった。母・イリ子さん(49)は、本人さえも教えていない「俊輔」の名前の由来を初めて明かした。「あの子が生まれるころ放送されていたテレビドラマ「Gメン75」のテーマソングの作曲者(菊池俊輔さん)からいただいたんです。とてもいい曲だったので」勇壮なテーマ曲にのって刑事が道の真ん中を歩くシーンはあまりにも有名。俊輔が真ん中にふさわしいことは、母親の愛情あふれる命名ですでに決まっていた。
 背番号10は、やはりピッチの真ん中がよく似合う。そして、真ん中でこそ力を発揮する。

すげえ強引な論理。にしても、菊池俊輔の俊輔とは知らなかった。
 夜、日本vsブラジル戦を見ながらまたきゅーとかぎょーとか叫ぶ。


20000919
 近さんから標本商と虫屋の悲喜交々な話を聞く。さらに翻訳詰め。風邪で鼻汁だだもれ。

20000918
 動物行動学会に要旨二本。ちびちびやってた翻訳ようやく本文を脱稿。あとは参考文献。eBayで$1.9という地味な買い物。送金料の方が高い。夜、20年代のフェリックスを見て人生を疑う。

20000917
そういや今日は第三日曜だった、と思い、彦根骨董市へ。番宣写真を数十枚買う。昭和63年のものだが、故人率高し。「新聞や雑誌の掲載以外の目的には使用しないで下さい」と書いてあるので写真は載せないが、以下のキャプションを見て妄想に走れ!


■手術後の足のうらに毛がはえてきたと見せる平幹二郎(左)(右)は、司会の桂文珍。
■”ベッドインしたい男性No.1?”編 ブスのオカマたちに押し倒される稲川淳二(中央)。
■アグネス・チャン 渡辺徹
■世界中にパニックが起ころうとしている時、スーパーマンの心の中でも「善」と「悪」とが闘っていた−。
■恭介の出現に都築は逆上する。
■カーク提督(ウィリアム・シャトナー)ら、クルーを乗せ惑星ジェネシスに向かうエンタープライズ号。
■箱に入れたESPカードを見事透視したスペインの超能力少女モニカ・ニエト・テハダちゃん(15)。
■ゲストの黒木瞳もお気に入り、真に女が作った女のためのドレス。
■久保隆(森本レオ)と桑野厚子(松尾嘉代)は野村涼子(高林由紀子)を夫の竜造殺しで追求する。
■商売に失敗し高倉平造(レオナルド熊)は荒んだ生活を送り、伸江(ちあきなおみ)に暴力をふるう。
■新コンビ南野陽子と野村宏伸はスポーツ新聞社の駆けだし記者と新米カメラマン役で活躍。
■「杉良太郎の森の石松」
■騎馬戦で圧倒的パワーを見せつけるダンプ松本。首には相手から奪った水着を巻いている!
■人情話を熱演するブラジルの日系旅芝居の一座。
■ザ・ペンドラゴンズによる地上30メートル炎の脱出。手錠をかけられたペンドラゴン夫妻がボックスに入り地上30メートルまでクレーンで吊り上げられた。
■話が決まり、「仕事料」を受け取る仕事人たち。(右から)鬼丸(亜仁丸レスリー)政(村上弘明)主水(藤田まこと)加代(鮎川いずみ)。
■珍しい横山やすし(右)と正司敏江(中)玲児(左)のからみ。
■久々登場の殿さまキングス。
■美少年・アラジンに扮する。
■押せば生命の泉わく浪越徳治郎。
■月曜日の新コーナー「陽気な悩みの集い」中島らも(左から2人目)の珍解答に湧く。
■神がかりになって話すタンキー(右)
■驚く司会のマリアンと岡田真澄。ニワトリの首をちぎり、又、元にもどすマジシャン武田の大マジック。
■ロン兄妹に助けを求めチョンボ救出に向かったチ・マン(マイケル・ホイ)は生放送のショウ番組に紛れ込みスタジオはテンヤワンヤの大騒動。
■ニューヨークのメトロポリタン・バンクにディーラーとして勤務している古村(沢田研二)だが・・・
■あすかの通う泰山学園にも全中裏(全国中学裏番長連合)の魔の手が伸びた。親友サチをいためつけられたあすかは強い憎しみを覚える。
■犬飼を負って10数年、弓坂はやっと樽見(犬飼)にたどりついた。
■軽妙さにユーモアを交えた司会の石坂浩二。
■テグスのルーツ?「白髪太郎」を見るリポーターの荒井注。


日本vsスロヴァキア戦見てきゅー、とかぎょーとか叫ぶ。
それからさらにお仕事。夜、NHKアーカイブ。

20000916
 米原で携帯で電話している男。バイト先に平身低頭の口ぶりでシフトの変更を確認したあと、知人(恋人?)にやつあたりのような横柄な口ぶり、さらにバイトの同僚になれなれしい口ぶり、と、見知らぬ他人とはいえ、露骨な豹変ぶりに、「人間なんて・・・」という虚無感にコンマ1秒ほど囚われる。

 IAMASでMSPレクチャーのコンサート。
 インタラクティブな演奏をする者は、インタラクティブにふるまうことで、自分の前にインタラクティブな「相手」を現出せざるをえなくなる。その相手が抽象的な思考であれ、具体的なモノであれ、だ。MAXやMSPは、単なるインタラクティブな作曲ツールであることを越えて、こうした「相手」をめぐる思考、「相手」に対する態度決定を使う者に課しつつある。逆に言えば、こうした「相手」に無自覚な作曲や演奏はおおかれ少なかれ、便利さに淫した退屈なものになる。
 三輪眞弘:トラメガとトランペットとの掛け合い。墓だな、と思う。トラメガという墓。三輪さんの作品を聞くと(見ると)しばしば、そこに「墓」が置かれていると感じる。墓参によって鳴る声。
 佐近田信康:ギターの生音が聞こえる大きさ。人声の使い方。バンドネオン、ギター、と観客にインターフェースをお見せする楽器を選び、ずらせていくセンス。
 カール・ストーン:機内らしき椅子に座るエグゼクティブ風の男として演奏。演奏するときの独特の動き姿を自らオタク化してしまった。いつもながらリズムのかぶり加減が絶妙だったけど、じつはアクシデントだったというリスタートしてからの沈黙の後がいちばんシビれた。

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Beach diary